しみについて(3)~肝斑~2010.08.15
肝斑は美容皮膚科医にとっては最も厄介なシミといえるでしょう。診断・治療に苦慮する場合があるからです。
肝斑とは女性ホルモンの影響で発生するシミです。目の回りやほお骨の上、額やエラの上に左右対称にできる淡い茶色のシミです。初期にはご自分で気づかない方が多いのですが当院で診察を受けた方多くに認めております。
肝斑は女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)のバランスが崩れることが原因と考えられています。そのためか、肝斑は妊娠・出産・更年期・ピル内服中の方に比較的多く見られます。妊娠時に現れる場合は、妊娠2~3カ月ころから現れることが多く、次第に色が濃くなります。出産後には少しずつ消えていく場合もありますが、長期に持続する場合もあります。稀ですが男性肝斑の方を診察したときにはびっくりしました。論文にも男性肝斑の報告があり私の診断が間違いないことに安心した経験があります。
増悪因子には紫外線・ストレス・過度の摩擦なども挙げられますのでご注意ください。そもそも、シミの原因であるメラニンを作り出すのは表皮にあるメラノサイトという細胞ですが、メラノサイトは、紫外線やホルモンの影響を受けて、メラニンを作り出します。そのホルモンの分泌に大きく関わってくるのが、ストレスをはじめとする不規則な生活、睡眠不足などです。
肌のケアだけでなく、生活リズムを整えること、うまくリラックスすること、睡眠時間を十分に取るなど、ストレスをためないようにすることも重要です。
ちなみに患者様からよく受ける質問で「私は肝臓が悪いのですか」と聞かれます。肝臓の肝という字が使われていますが、肝臓の病気が原因というわけではありませんのでご安心くださいね。